みなさんこんにちは！お久しぶりのもりちゃんです。

最近食欲が大幅に低下しているのでバランスパワーをひと箱くらい食べたら事足りる一日を送っています。
私は身長が166㎝で、人生で一番体重があった時で62㎏、一番なかった時で44㎏でした。
桂浜水族館に入社した頃は53㎏くらいだったのですが
絶飲絶食をともなう入院生活のおかげで50㎏を切ったのをきっかけに
体重を減らすことへの観念が生まれて「食べること」をやめました。
まあ、容姿にコンプレックスがあることや
脳みそのいたるところで常々感じていた「街ですれ違う華奢な女の子」に対する強い憧れも
「痩せ」への加速には十分でした。

食事をしなくなると体重は簡単に落ちます。
あっという間に44㎏になった頃、背骨も肋骨も骨盤も浮き出てカリカリの身体になり、
朝、髪の毛を梳いただけで髪の毛が抜けた日に、排水溝に絡まる髪の毛を見て
「これやべえんじゃね？」と、私の激やせ劇場は幕を閉じました。

昔から気が強くてわがままな性格な上に高いヒールが好きだったので
高飛車な感じでよく高いヒールを履いていたのですが、
高身長に相まって「高いヒール」が似合うようになったのは
「痩せてから」だと思っています。

どこにいても恥ずかしさや劣等感がご丁寧につきまとってくださって
自信のない私は街を歩いていても息苦しさしか感じなかったのですが、
激やせ劇場のおかげで「痩せてるから」という一種の免罪符のようなものを得て
誰といても不思議な安心感を手に入れるようになりました。
しかしそれは重さを失ったから得たものではなく
生きることで重ねた経験や同時期に手に入れた信頼のおかげなのです。

若いスタッフと手を組んで企てたことが注目され、桂浜水族館の記事が新聞に載ったり
お客様と企んで仕掛けたイベントが大成功したり、描いたポスターを褒められたりすると
それが地層のように重なって、私の根拠のない高飛車がちゃんとした自信に変わります。

カピバラの毛を気が狂ったように一本一本丁寧にトリミングした後の、
キャンバスの中で癪に障るたった一センチのズレが気に食わなくて全部手直しした後の、
色やフォントが納得できなくて何度も何度も修正した後の、
「誰もそこまで気にしないよ」を
私が私を認めたいがためだけに、愛したいがためだけにした仕事の後のあの煌々とした感覚は、
体重計に乗るたびに0.1グラムのマイナスにすら一喜していた感覚と同じ麻薬なのです。

桂浜水族館の若いスタッフは自分が表現するものに対して誰かがお金を支払うことを
どこか苦痛に思っていて、「お金をとっている」と思う節があります。
表現やそれに費やした時間とエネルギーに自信がないように思うのです。

ストアスタッフのひなちゃんは言いました。
「人のことならいいんですけど、自分のことになると自信がなくなるんです。
フェイスペイントとかして喜んでくれるのもお世辞だと思っちゃうし
私なんかが絵を描いてお金をもらうなんて、失礼じゃないかって」
例えばそれがどんなにヘタクソで、どうしようもない画だったとしても
ブランドがあれば、他者に対して同等な立場でなにかを表現することができる。
ああ、そうだ。ブランドがないから自信がないんだ。
そしてこの「ブランド」は地層によって成り立つんだ。
今、改めて思いました。

盛田のおんちゃんを見てみなよ。
「女を見たらおっぱいだと思う」
「女もメシも食ったら終わり」なんて言って
だからこそ愛されてるんだから。

咀嚼したものを嘔吐しない。
地層の隙間を流してウンコにする。
そういうこと。

表現は嘔吐じゃない。排泄だ。