仁淀川河口大橋から東へ、文庫の鼻トンネルを抜けてすぐ、小さな港、春野漁港があります。近くの砂浜には小さな岩があり、松の木が根を下ろし、その上には小さな祠がまつられ、何となく風情を感じます。春野漁港から道路の下をくぐって水路があり、仁淀川沿いにある新川という所から流れてくる水路と合流し、長浜を通って浦戸湾に流れ込みます。
この水路は藩政の頃、野中兼山が手がけた“運河”なのです。途中、山を切り開いた「唐音(かろと)の切り抜き」という所がありますが、大変な大工事だったそうです。仁淀川を下って高知のお城下へ商いに行く人々にとって船で桂浜沖を大回りして浦戸湾に入るのはかなりの危険をともなうことでした。この水路は利用することで、決して楽ではなかったではなかったにせよ、少なからず危険を回避できたようです。
この水路ではマハゼがよく釣れます。今は釣りから遠ざかってしまいましたが、以前はよくハゼ釣りを楽しんだものです。